着色法
金属の特性を生かし、多彩な表情をかもし出す
「銅器は錆を鑑賞する工芸」と言われますが、着色、その表情を決定する最後の工程です。
熟練の職人がさまざまな手法を駆使し、金属を腐食させて鮮やかな「色彩」を引き出します。
伝統的な着色法
着色は、保存性と美化を高めることが目的です。金属が持つ本来の色を引き出すため、古くから伝わるさまざまな薬品を使い、金属の表面を腐食させ、化合物を生成させます。手法は長い間の試行錯誤から、いくつも生まれています。
着色の工程では、まず金属表面の化合物被膜を取り除き、下色を施し、本着色へと進みます。下色は表面に酸化被膜を作る化学的手法です。硫酸銅や食塩、食酢などで作る「丹ぱん酢液」や「酢煮汁液」、日本酒または食酢に細かな鉄屑を入れて作る「お歯黒」、刈安 (すすきの一種) を煎じて作る「刈安液」などを用います。
主な伝統的着色仕上げ
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古手色とも呼ばれ、黒っぽく、古美術品のような味わいをかもし出します。香炉、花器、置物などに多く用いられます。 |
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古銅色の中でも、赤っぽい色調を総称します。下色の違いで幅広い色調を表現することが可能です。香炉、花器、置物などに用いられます。 |
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下色に刈安液を用い、緑がかった黄色地が特徴です。黒のボカシの併用で、より味わい深くなります。仏具、茶器、花器などに用いられます。 |
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地金の組成によって発色は大きく異なりますが、透明感のある肌が特徴です。香炉、茶器、花器などに用いられます。 |
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中国・明の宣徳時代に作られた銅器に多く見られる色調です。これを伝承し、模した色調を総称します。 |
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銅の錆 (緑青) を人工的に発生させています。耐蝕性に優れ、銅像や灯篭に用いられます。自然の緑青が発生し、より風雅になります。 |
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銅分の少ない地金に、朱色を分散的に発生させた色調です。文鎮、花器など小物に多く用いられます。 |
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焼青銅色より朱色が顕著に出て、流れるような模様が特徴です。全体に茶色の色調が本焼朱銅色と呼ばれ、無地の花器などに用いられます。 |
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金の配合割り合いにより、数多くの種類があります。本金 (純金) は耐候性が高く、屋外の造形物や高級仏壇などに用いられます。 |