高岡銅器は、銅合金による鋳造技術から作られ、原型づくり→鋳造→仕上げ加工→着色という工程をたどります。
どの工程においても、熟練した職人が手技の粋を発揮し、それらが連携することにより、1つの造形美が生まれます。
鋳造工程では、溶けた金属の温度を「目で測る」ほどの長年培った熟練度が要求されます。
鋳造は、溶かした金属を、あらかじめ作っておいた原型に流し込み、目的の形にする金属加工法です。数千年前に生まれた鋳造の基本技術は今も変わっていませんが、いくつものバリエーションがあって、高岡銅器では主に4つの技法を用いています。それぞれの技法により、原型づくりも異なります。
もっとも古い技術で、円筒型や円錐型の火鉢、茶釜、梵鐘などの製作に用いられます。原型の外型は、左右対称の断面を写しとった板を回転させて作り、次に肉厚を出すために、一回り小さな中子型を作ります。この2つを組み合わせてできる隙間に、溶かした金属を流し込みます。 |
小さくて複雑な置物から大きな銅像まで製作する技法です。粘土と和紙の繊維を調合した真土 (まね) という鋳型を作り、約900℃で焼いた後、約400℃に冷ましてから、溶かした金属を流し込みます。 |
もっとも精度の高い技法です。蜜蝋 (ミツバチの巣から抽出) や木蝋 (ハゼの実から抽出) に松脂を煮合わせたもので原型を作り、土に包んで高温で焼くと、熱によって原型の蝋が溶け、隙間が生まれます。ここに溶かした金属を流し込みます。 |
高岡銅器を発展させて主力の技法です。木製または金属製の上下枠に、製品と同じ形の種型を入れ、砂を入れて押し固めます。上下枠をはずし、原型を取り出すと、砂の鋳型ができます。これに溶かした金属を流し込みます。 |
※このほかに、精密製品を量産する金型鋳造法 (ダイカスト)、蝋型鋳造法の現代版と言えるロストワックス鋳造法、化学反応を応用したガス型鋳造法、電気を用いる電鋳法があります。